白い花の咲く季節
よく見る夢が2種類あった。
幼いときの夢と自分が死ぬ夢。
幼いときの夢をオレはあまり覚えていない。けど、たしかにそういうことがあった。
死ぬ夢は毎回シチュエーションが違った。
オレは自殺願望があるわけじゃない。なのにその夢は頻繁に現われた。
夜だろうと昼寝だろうと、構わずに。
そして毎回とび起きる。あんなにリアルな夢なんだから当然だといえば当然だ。
え? それがどうしたって?
どうということはないさ。ただの夢だ。
今の君(あの時のオレ)にとってはね。
君がオレの運命をこれから辿るというのなら、きっと君も理解するよ。
オレが見た夢がなんなのか。
見てみたいとは思わない? 他人の運命の末路ってやつを。
ハッピーエンドかバッドエンドか。
そもそもどちらか片方はないかもしれない。
行く末がなんなのかっていう好奇心をオレの運命で楽しんでくれればいい。
さぁ、長話も終わりにしようか。
もし君がオレの運命を辿るのであればこれから君はオレだ。鳴神葵だ。
一足先にオレは自分の運命を楽しませてもらった。
今度は君が楽しむ番だ。
白い花が視界いっぱいに咲いたあの季節に。
願わくば幸多からんことを。
コンテンツ
| |